飛行計画の書き方
VFR の飛行計画の書き方
第 7 項から第 19 項まで、
小型機で VFR の飛行計画を出すとき、各項目に何をどの形で書くかを、SWIM のフライトプラン登録画面の並びに沿ってまとめます。IFR で書き方が変わる項目は、IFR の例と並べて示します。根拠は、国土交通省 航空局の「飛行計画記入・通報要領」と AIP Japan、SWIM の公式の資料です。
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この記事は参考情報です。AirBinder は、国土交通省・航空局の公式のサービスではありません。正確な内容は、公式の資料でご確認ください。
目次9 項目
1書く前に:共通の決まり
時刻は UTC、文字は英大文字で書きます。
飛行計画記入・通報要領(以下「要領」)は、書き方と通報の時期の決まりを、次のように定めています。
- 文字
- アルファベットの大文字とアラビア数字で、原則として英文で書きます。
- 時刻
- 協定世界時(UTC)で、時刻と時間は 4 桁の数字で表します。日本時間(JST)から 9 時間を引くのを忘れないようにします。
- 通報の時期
- 移動開始時刻(EOBT)の 120 時間より前にはできません。IFR の場合は、EOBT の 2 時間前までに通報することが望ましく、少なくとも 30 分前までに通報するとされています。
- 通報を要しない飛行
- VFR で、出発地を中心とする半径 9 km の範囲内を飛び、その範囲内に着陸する場合は、通報を要しないとされています。
SWIM のフライトプラン登録画面は、第 7・8・9・10・13・15・16・18・19 項の順に並んでいます。この記事も同じ順に進み、最後に IFR で書き方が変わる項目をまとめます。
2第 7〜9 項:識別・飛行方式・機体
航空機識別は、ハイフンを付けない登録記号で書きます。
第 7 項 航空機識別
無線呼出符号に登録記号を使う航空機は、国籍記号と登録記号を書きます。7 文字以内の英数字で、ハイフンなどの記号は使えません。JA-1234 ではなく JA1234 です。O(オー)と 0(ゼロ)の打ち間違いに注意します。登録記号を航空機識別にしたときは、第 18 項に OPR/(運航者)が要ります。個人の場合に何を書くかは確認中です(第 18 項の記事)。SWIM の画面にある SSR モード A コードの欄をどのような場合に使うかは、公式の資料では明確でなく、確認中です。
第 8 項 飛行方式・飛行の種類
全区間 VFR なら飛行方式は V です(全区間 IFR なら I)。途中で IFR に変えるなら Z とし、第 15 項に変える地点を書きます。飛行の種類は、航空機使用事業・訓練・試験・空輸・自家用機の飛行が G です。N・G・X を選んだときは、第 18 項に MSN= と飛行目的の略号を書きます。SWIM の画面では、第 18 項の Other(RMK)の欄に「MSN=〇〇」と入れます。入れ忘れが多いと、ワークショップでも注意されています。
第 9 項 機数・型式・後方乱気流区分
機数は編隊のときだけ書きます。型式は ICAO の型式略号(Doc 8643)で、C172・P28A のように機体の呼び名と違うことがあります。SWIM で入れられるのは 2〜4 文字の英数字です。略号の無い型式は ZZZZ とし、第 18 項の TYP/ に型式を書きます。後方乱気流区分は、最大離陸重量 7,000 kg 以下なら L です。
3第 10 項:装備
SWIM の画面では、装備をチェックと 3 つの欄に分けて入れます。
第 10 項 a は、航空法で装備が義務づけられた無線設備を、使える状態で積んでいれば S、一部でも無いか使えなければ N を書き、続けて使える機器の記号を書きます。VOR は O、DME は D、ADF は F、GNSS は G、VHF 無線電話は V です。第 10 項 b は監視機器で、モード C のトランスポンダなら C、モード S(識別と気圧高度)なら S です。
SWIM の画面では、紙の様式のように 1 行で書きません。S はチェックボックスになり、機器は「無線通信」「データリンク」「航行・進入援助」の 3 つの欄に分けて入れます。N・R・Z は欄に入力できません。ワークショップの資料にある例では、次のように入れます。
| SWIM の画面の欄 | 入れる値(紙の様式では SDFLOV/C) |
|---|---|
| 標準装備 | チェックを入れる(S) |
| 無線通信 | V |
| データリンク | 空欄 |
| 航行・進入援助 | DFLO |
| 監視機器(第 10 項 b) | C |
要領 5.2(4)a 注 2・5.2(8)b(c) は、第 10 項に G(GNSS)を書いたときに、第 18 項に NAV/ と GNSS 補強の種類を書くとしています。補強を使わない GNSS のときに何を書くか(書かなくてよいか)は示されておらず、確認中です(この記事の例 SG/C では NAV/ を書いていません)。ADS-B の記号(B1・B2 など)は、航空当局から使用を認められている場合に書くものです。
4第 13〜16 項:出発・経路・目的地
EOBT は動き始める時刻、所要時間は目的飛行場の上空までです。
第 13 項 出発飛行場・移動開始時刻
出発飛行場は ICAO の 4 文字の地点略号で書きます。略号の無い場外離着陸場などは ZZZZ とし、第 18 項の DEP/ に名称を書きます。移動開始時刻(EOBT)は、出発のために動き始める予定の時刻で、離陸の時刻ではありません。日本時間 12 時 45 分に動き始めるなら 0345(UTC)です。SWIM の Web API では EOBT を日付つきで送り、出発日の DOF/ はこの日時から作られます。
IFRRJNA 14:30 JSTRJNA0530
VFRRJTF 12:45 JSTRJTF0345
第 15 項 巡航速度・巡航高度・経路
巡航速度は、最初の巡航の真対気速度(TAS)を、N に続けてノットの 4 桁で書きます。110 kt なら N0110 です。指示対気速度や対地速度ではありません。巡航高度を定めるなら、フィートの高度は A に続けて 100 ft 単位の 3 桁(8,500 ft なら A085)、フライトレベルは F に続けて 3 桁で書きます。特定の高度を定めない VFR は VFR です。
ここまでは紙の様式での書き方です。SWIM の画面では、記号付きの形ではなく数値と単位を別々に入れます(例:巡航速度 110・KT、巡航高度 8500・FT)。高度を定めない VFR は、数値の欄に「VFR」と入れて単位の欄を空けます(両方を空けても VFR として扱われます)。
経路は、ATS 経路を飛ぶならその記号を、外れるなら DCT を使い、地点を空白で区切って順に書きます。VFR では、著名な都市や湖、山などの名称で地点を示すこともできます。ATS 経路の外では、原則として飛行時間 30 分か 200 海里を超えない間隔で地点を書くとされています。国内の飛行では DCT を省けます。
巡航高度は、AIP Japan の ENR 1.1.6 の表に合わせます。VFR で地表または水面から 3,000 ft 以上の高度を巡航するときは、14,000 ft 未満なら、飛行方向が 000〜179° で 1,000 ft の奇数倍に 500 ft を加えた高度、180〜359° で偶数倍に 500 ft を加えた高度です。調布から松本へ向かう次の例は 180〜359° なので、8,500 ft(A085)にしています。
- N0110巡航速度。
真対気速度 110 kt - A085巡航高度。
8,500 ft - KARAKIDA調布の Visual REP
(AIP の図に載る 位置通報点) - SAGAMIKO地名(相模湖)
- KOFU地名(甲府)
- SUWAKO松本の Visual REP
(諏訪湖の上空)
KARAKIDA と SUWAKO は、AIP の調布と松本の Visual REP の図に載っている位置通報点で、SAGAMIKO(相模湖)と KOFU(甲府)は地名です。国内の飛行なので DCT を省いています。経路と高度は例で、実際の計画は、地形・空域・天候に合わせて機長が決めます。
第 16 項 目的飛行場・所要時間
目的飛行場は、最初に着陸する飛行場です。略号の無い場所は ZZZZ とし、第 18 項の DEST/ に名称を書きます。所要時間(EET の合計)は、VFR の場合、離陸してから目的飛行場の上空に着くまでの予定時間です。地上を走る時間は含めません。代替飛行場は、VFR では不要とされています。SWIM の画面では、代替飛行場の欄は第 18 項の並びにあります。IFR では所要時間と代替飛行場の扱いが変わります(IFR との違い)。
5第 18 項:その他の情報
飛行の種類が G なら、第 18 項に MSN= を書きます。
小型機の VFR でよく使うのは、MSN=(飛行目的。RMK/ の中に書く)、OPR/(運航者)、DEP/・DEST/(略号の無い場所の名称)、NOTE=REP=(位置通報を予定する地点)、TCA=(TCA アドバイザリーを求める場合)などです。書き方は第 18 項「その他の情報」の書き方にまとめました。
6第 19 項:補足情報
燃料搭載量は、量ではなく飛べる時間で書きます。
- E/ 燃料搭載量
- 積んだ燃料で飛べる時間(持久時間)を 4 桁で書きます。燃料の量(リットル)ではありません。
- P/ 搭乗総人数
- 機長を含めた人数です。通報の時点で分からなければ
TBNと書けます。 - R/ S/ J/ 救命無線・救急用具・救命胴衣
- 紙の様式では、使えないもの・積んでいないものの記号を消します。SWIM の画面では、使えるもの・積んでいるもののチェックボックスを選びます。救命胴衣を積んでいれば J は必須で、灯火付きの救命胴衣なら J と L だけを選ぶよう案内されています。
- D/ 救命ボート
- 積んでいるときに、数・全収容人数・覆いの有無・色を書きます。
- A/ 機体の色とマーキング
- 機体の色と主なマーキングを説明します。原則として英文で書きます。
- N/ 救急用具の特記事項
- そのほかの救急用具と、救急用具についての特記事項を書きます。無ければ N を消します。
- C/ 機長
- 機長の氏名です。飛行計画で明らかにしなければならない事項の一つです。
7IFR との違い
IFR では、高度・経路・所要時間・代替飛行場の書き方が変わります。
書式は同じでも、IFR の計画では書き方が変わる項目があります。名古屋(RJNA)から新潟(RJSN)へ航空路 Y312 で飛ぶ IFR の例を、この記事の VFR の例と並べます。色の付いた行が、書き方の変わる項目です。
| ICAO の項目 | IFR名古屋 RJNA から新潟 RJSN・TBM9・航空路 Y312 | VFR調布 RJTF から松本 RJAF・C172・位置通報点と地名で経路を示す |
|---|---|---|
| 7航空機識別 | JA0001 | JA0000 |
| 8飛行方式・ | IGI(IFR)・G(一般航空) | VGV(VFR)・G(一般航空) |
| 9型式・ | TBM9/L | C172/L |
| 10装備 | SDGR/SD は DME、 | SG/C標準装備と GNSS。 |
| 13出発飛行場・ | RJNA0530日本時間 14:30 | RJTF0345日本時間 12:45 |
| 15巡航速度・ | N0290F230 KCC Y312 GTC1,000 ft の奇数倍の | N0110A085 KARAKIDA SAGAMIKO KOFU SUWAKO1,000 ft の偶数倍に |
| 16目的飛行場・ | RJSN0050 RJSS所要時間は | RJAF0100所要時間は |
| 18その他の情報 | PBN/B2D2S1 DOF/261013 REG/JA0001 OPR/TARO SORA RMK/MSN=PO TRNGR に対して PBN/。 | DOF/261013 REG/JA0000 OPR/TARO SORA RMK/MSN=PO TRNGPBN/ は無し |
巡航高度と経路
AIP Japan の ENR 1.1.6 の表では、IFR で地表または水面から 1,000 ft 以上の高度を巡航するときは、飛行方向が 000〜179° なら 1,000 ft の奇数倍、180〜359° なら偶数倍の高度です(FL140 以上 FL290 未満では、同じ決まりのフライトレベル)。例の Y312 は北東へ向かう区間(磁方位 041°)なので、奇数の FL230 にしています。
ATS 経路を飛ぶ区間は、経路に入る地点、経路の記号、経路を出る地点を順に書きます(要領 5.2(6)c)。例では、名古屋 VOR(KCC)で Y312 に入り、新潟 VOR(GTC)で出ます。
- N0290巡航速度。
真対気速度 290 kt - F230巡航高度。
フライトレベル 230 - KCC名古屋 VOR。
航空路に 入る地点 - Y312ATS 経路の記号
(RNAV5 の 航空路) - GTC新潟 VOR。
航空路を 出る地点
- 所要時間
- 離陸から到着予定時刻までの時間です。到着予定時刻は、IFR では計器進入方式の開始点の上空に着く予定時刻(飛行場に関連する航空保安無線施設がなければ、飛行場の上空)、VFR では飛行場の上空に着く予定時刻です。
- 代替飛行場
- IFR で代替空港等を定めるときは、第 16 項の目的飛行場と所要時間に続けて書きます。VFR では不要とされています。例では仙台(RJSS)です。
- 第 18 項
- 第 10 項に R(PBN の承認)を書いたら、PBN/ に種別を書きます。要領 5.2(4)a 注 2・5.2(8)b(c) は、第 10 項に G を書いたときに NAV/ と GNSS 補強の種類を書くとしています。補強を使わない GNSS のときに何を書くか(書かなくてよいか)は示されておらず、確認中です(例はどちらも補強を使わない GNSS で、NAV/ は書いていません。第 18 項の記事)。
どちらも例です。登録記号と時刻は架空のもので、経路と高度は実際の計画では地形・空域・天候に合わせて機長が決めます。巡航高度の決まりは AIP Japan ENR 1.1.6、IFR の経路は ENR 3.3(AIRAC 2610)によります。第 18 項の OPR/ と RMK/MSN= は、個人の書き方を確認中です。表では第 19 項を省いています。
8送る前の見直し
送る前に、時刻・識別・飛行目的を見直します。
送る前の見直し6 項目
EOBT とほかの時刻UTC にしたか
航空機識別ハイフンや O と 0 の取り違えが無いか
飛行の種類が G
MSN=を書いたか登録記号で通報する
OPR/を書いたか個人の
OPR/の書き方は確認中巡航速度・所要時間・燃料搭載量TAS か、上空までか、時間で書いたか
ZZZZにした飛行場名称をDEP/・DEST/に書いたか
AirBinder の入力画面は、SWIM の登録画面と同じ順に欄を並べ、項目名を英語と日本語の 2 行で示しています。送る前に、必須の項目と値の範囲を確かめ、ICAO 形式の平文で内容を見られます。送った後は、受理(ACK)を確かめることを忘れないでください。
出典
- 飛行計画記入・通報要領(国土交通省 航空局 交通管制部運用課長、令和 8 年 10 月 1 日施行)3.(1)、4.(1)・(3)、5.1、5.2(1)〜(9)(PDF p.1〜24)
- AIP Japan ENR 1.1.6(巡航高度。ENR 1.1-2)、ENR 3.3-77(Y312)、ENR 4.1-16・4.1-17(KCC・GTC)、RJTF・RJAF AD 2.24(Visual REP の図)(国土交通省 航空局、AIRAC 2610 の版で確認)
- 小型機ユーザー向けクイックリファレンス(フライトプラン登録サービス編)Ver.1(2026 年 3 月 5 日)付録 A(p.11〜13)
- フライトプラン登録サービスワークショップ説明資料(東京 FAIB・関西 FAIB、2026 年 4 月 22 日)p.11〜13・31
- フライトプラン登録サービスワークショップ質疑応答記録(同)No.4・8・19
- SWIM サービス利用者向け説明書(ユーザーズガイド)フライトプラン登録サービス(2025 年 3 月 28 日版)補足 2-11〜2-13 <65>〜<95>
- SWIM サービス API 連携仕様書 付録 13 フライトプラン登録サービス Ver1.0.2(国土交通省 航空局、2026 年 8 月 11 日)別紙 2-1(p.43〜45)
出典:SWIM portal(https://top.swim.mlit.go.jp/swim/)の各資料をもとに AirBinder が加工して作成